女性の特級技能士が誕生

女性の特級技能士が誕生―。金属熱処理を手がける伊藤熱処理(山形市、伊藤裕章社長、023・622・9452)は、女性活用に力を入れている。全社で金属熱処理の国家資格の取得に取り組んでおり、管理部営業課の中西しのぶ主任(写真)が3月に特級金属熱処理技能士になった。女性の特級技能士は同社初で、業界でも珍しい。それだけに伊藤雄平副社長は「社内で良い刺激になっている」と笑顔をみせる。 現在、従業員のうち76人が金属熱処理技能士の資格を有している。このうち女性は約15人。特級技能士の資格取得は難関で、同社でも中西さんを含めて3人しかいない。毎年、女性を採用しており、伊藤副社長は「中西さんの後に続いてほしい」と期待を寄せる。 一方、中西主任も後進の指導に目を配る。「材料は日々進歩している。アンテナを張って技能を磨く」と決意を新たにしている。(山形)  【東大阪】大阪府立産業技術総合研究所(大阪府和泉市、古寺雅晴理事長、0725・51・2525)は、12月1日付で3Dプリンターなどによる試作品製作拠点の「ものづくり設計試作支援工房」を同研究所内に開設する。早ければ8月中に、約1000万円を投じて3Dプリンターや3次元CADソフトなど周辺機器を新たに導入する。汎用性が高い3Dプリンターを導入し、試作品を作ることへのハードルを下げる狙い。「試行錯誤をできる場にする」(田中秀穂経営戦略課参事)という。 試作工房には3Dプリンターのほか、3次元切削加工機や3次元CADソフトを導入。3次元切削加工機はすでに2012年度の補正予算を活用し、導入済み。ドリルで樹脂やアルミ、真ちゅうを切削加工する。3次元CADソフトも新規に導入し、利用者がデータを事前に用意する手間を省く。 3Dプリンター導入後の約4カ月間は産技研職員の習熟に向けた準備期間で、12月の工房開設へ万全な体制で臨む方針。さらに工房の活用例として試作品のイメージを広げるため、サンプルをいくつか製作する。 産技研はすでに、高精度な試作品向けの金属を使った積層造形ができる設備を持つ。 【広島】広島県立総合技術研究所(松岡孟所長)は、小型・低コストの視線検出装置を開発した。視線検出のための較正(キャリブレーション)が不必要なプログラム、視線検出ソフトとタブレットパソコンも開発し、必要なところで簡単に活用できるのが特徴。今後は成果移転事業に取り組み、企業の実用化を支援する。自動車や医療分野への展開を目指す。 既存の視線検出装置や視線入力装置は、大型で高価格が普及のネックになっている。同研究所西部工業技術センター生産アカデミーは2011年度から3年間、小型で低コストの視線検出装置の開発に取り組んできた。 視線検出は角膜反射法を利用。3Dプリンターを用いて名刺大の小型モジュールを試作。小型カメラと発光ダイオード(LED)を組み込み、車載固定や微調整機能を盛り込んだモジュールを開発。視線検出ソフトを開発してタブレットパソコンのみでの動作を可能にした。利用者の負担軽減を図るためにキャリブレーションレスプログラムと画像操作環境(GUI)も開発した。コストは「十数万円台に収まる可能性」(生産アカデミー)もある。 開発した視線検出装置は自動車、医療福祉分野など幅広い分野での活用を見込む。研究開発に協力した業務アプリケーション開発などを手がけるシステムアートウェア(広島市中区)などの広島県内の企業を中心に技術を移転、実用化開発を支援する。 ビジョンリンク(水戸市、木下隆之社長、029・353・8263)は、モノづくり企業に特化したコンサルティング事業を、完全成果報酬型で始めた。報酬金額や支払時期は顧客と協議して決める。モノづくり企業から相談の多いマーケティングと人材育成に絞り、成果が出るまで支援する。年間30社程度の契約を見込む。 通常、コンサルティング料金は支援内容によって最初に決めるのが一般的だ。しかし、木下社長は「支援による成果が出たかどうかが重視されておらず疑問に感じていた」ことから、完全成果報酬型を採用した。 マーケティング・コンサルティングは利益創出モデルの構築を機軸とした経営戦略、事業戦略、営業力育成などと合わせてコンサルティングするため、顧客企業内に戦略参謀チームを構築し、実行を支援する。また販売面では「新商品を開発しても売り方が分からないケースが多い」(木下社長)ことから、希望に応じて営業代行や同行営業なども提供する。 人材育成では企業内に人材戦略チームを組織し、企業が継続的に実行できる体制を構築する。企業が成長し続けられるための組織形成を支援。外部の戦略参謀として企業と関わり、実践ベースで業務に携わる。成果にこだわることで企業との信頼関係を強化する。 茨城の特産品である「西ノ内和紙」の歴史は、江戸時代にまでさかのぼる。当時、和紙の需要が全国で伸び、茨城でも農業に取り組む傍ら、紙すきを扱う農家が増えた。茨城の気候は寒冷で、和紙の原料となるコウゾ栽培に適していた。水戸藩はこんにゃくや漆と同様にコウゾを栽培することを奨励し、紙すきが盛んになった。西ノ内和紙は水戸藩の専売品として愛好された。 和紙の原料にはミツマタ、ガンピなどがあるが、コウゾはこれらに比べて繊維が長くて丈夫なのが特徴。通気性、防水性に優れた和紙に仕上がる。ちょうちんや唐傘などに使ったり、繭を入れる袋や雑草を防ぐため畝(うね)を覆ったりと布代わりに使われてきた。 西ノ内和紙の製造販売を手がける紙のさと(茨城県常陸大宮市、菊池大輔社長、0295・57・2252)の敷地には数百本のコウゾの株が植えられている。毎年1月下旬に刈り取り、蒸して皮を剥がして中の白い靱皮(じんぴ)繊維のみを取り出して保存する。靱皮繊維乾燥原料の年間生産量は約130キログラムだ。 コウゾ1本当たり60センチ×90センチメートルの和紙を2―3枚しかつくれないため、菊池社長は「木の繊維を壊さないように接着剤や塗料といった薬品などを使わずに製造している。水も水道水ではなく、井戸水を使用し、自然のものを自然なまま届けることを心がけている」と強調する。 紙のさとは家業として紙すきを専門に扱い始めてから約130年の歴史を誇る。菊池社長は4代目。西ノ内和紙は国と県の無形文化財に指定されており、菊池社長は「これからも茨城の紙すきの文化を守る」と意気込んでいる。

 

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