認定したベンチャーの製品をリスト化

政府は創業から間もないベンチャー企業への支援策として、物品購入の際にベンチャーが開発した新製品を優先的に採用する制度づくりに乗り出す。ベンチャーなどの製品を試験的に導入する施策を講じている地方自治体と連携。各自治体が発注先として認定したベンチャーの製品をリスト化し、政府各省や関係機関が調達品を選ぶ際に活用する。秋までの運用開始を目指す。安倍晋三政権が重視するベンチャー育成策の一環として、創業期の課題である販路開拓に役立て、新産業・新市場の創出につなげる。 地元ベンチャー企業などの製品・サービスを試験的に導入する「トライアル発注制度」を設けている自治体から、対象製品の紹介を受けてリストを作成。政府各省や独立行政法人などが物品を購入する際に、リストに収載された製品を優先的に採用するように努める。経済産業省・中小企業庁が実務を担当。創業から10年以内のベンチャーの製品に対象を絞り、受注実績づくりに役立てる。 自治体が運用するトライアル発注制度は、ベンチャーを含む地元中小企業の独創的な製品やサービスを試験的に使って評価する仕組み。ベンチャー育成などの狙いから2004年の地方自治法施行令改正で、随意契約の対象として認められた。 東京都や佐賀県など40近い都道県がこれに類する制度を設けているほか、市レベルにも取り組みが広がっている。自治体の認定を受けた製品・サービスは約1000件に上る。これらの中から創業後10年以内の企業の製品を抽出する。政府関係機関による購入はトライアルでなく、通常の物品調達の名目で行う。 政府各省などによる官公需をめぐっては、中小企業全般の受注機会拡大に努めるように法令で定めている。だが、ベンチャーに特化した調達の仕組みはなかった。政府が6月にまとめた成長戦略改定版で、ベンチャーの創業支援を重点課題に掲げたのを受け、新規事業創出の大きな関門である創業期の販路獲得を支援し、収益基盤を支える。 日本生産性本部の会長が11年ぶりに交代し、ウシオ電機の牛尾治朗会長から、キッコーマンの茂木友三郎名誉会長にバトンが託された。生産性運動が始まって来年で60周年を迎えるが、生産性向上は、わが国の将来を大きく左右するキーワードになっている。茂木新会長に生産性本部の目指すべき方向性や日本経済復活の条件などを聞いた。 ―優先課題は。 「もともと生産性本部は、労使が協調して生産性を高め、戦後の日本企業の近代化を促す役割を果たしてきた。第二次産業の生産性向上からスタートしたが、生産性運動は着実に拡大。サービス産業や農業といった製造業以外の分野、そして最近では行政や政治という領域も生産性向上が問われている。こうした生産性運動をさらに広げ、取り組みを強化していく」 「必要なのは先見性を持って時代の流れに対処し、社会に広く知らしめること。洞察力を磨き、問題提起する一方、経営教育や人材育成、経営コンサルティングといった事業の強化も図っていく。『運動と事業』を両立させていきたい」 ―サービス産業の生産性向上が求められています。 「国内総生産(GDP)の約7割を占めるサービス産業にとっては喫緊の課題だ。この分野の生産性を高めることができれば、日本全体の生産性は確実に向上する。現在は米国などに比べ低水準だが、裏を返せばサービス産業が生産性を向上させる余地は大きい。チャンスと言えるだろう」 「日本人には『サービスは無料』という感覚が定着しているが、これを変えていかねばならない。モノに対してお金を払うことと同様、サービスにも対価が必要という意識変革が重要。もちろん日本人が世界に誇る“おもてなし”という気持ちは忘れてはならない。対価を得るからもてなすという姿勢では日本の良さが損なわれてしまう」 ―日本経済が再び輝きを取り戻す条件は。 「官民がそれぞれの役割を果たすことが大切だ。政府に求められるのは民間が仕事がしやすい舞台づくり。規制改革、税制改革、環太平洋連携協定(TPP)を中心とした経済連携の推進が柱になる」 「民間は政府がつくった舞台の上で、イノベーションとディファレンシエーション(差異化)を推進することだ。独自性のある革新で、需要を創造することが必要だ。ピーター・ドラッカーも指摘している通り、企業の重要な役割のひとつは人々が持つ欲求を需要に変えること。需要をつくり出せば、企業の付加価値は増大し、国も成長する。国と企業は共存共栄の関係にある」  【略歴】もぎ・ゆうざぶろう 58年(昭33)慶大法卒、同年キッコーマン入社。61年米国コロンビア大学経営大学院(経営学修士課程)修了。95年社長兼最高経営責任者(CEO)、04年会長兼CEO、11年名誉会長、取締役会議長。経済同友会副代表幹事や行政刷新会議の議員などを歴任。千葉県出身、79歳。  【記者の目/茂木氏就任は時代の要請】茂木新会長と生産性本部の関わりは半世紀前にさかのぼる。当時は「経営学ブーム」が巻き起こり、生産性向上による「経営の近代化」が最大の焦点。米コロンビア大学で日本人初のMBAを取得したばかりの茂木氏もブームの中に身を置いていた。それから50年余。日本は「第2の生産性運動」が迫られている。人口が減少する中、生産性向上こそが国の潜在成長率を高める条件。生産性向上を熟知した茂木氏の会長就任は時代の要請である。(編集委員・井上渉)

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